旧打狗駅故事館

旧打狗駅故事館のあるこの場所は、かつて台湾鉄道高雄港駅があった。高雄港駅の歴史は古く、資料を紐解けば、1900年11月の縦貫鉄道南部線開通時まで遡ることができる。元々この地は、ラグーンや潮間帯だったが、台湾総督府鉄道部は埋め立てを行い、本館の800メートル北側に「臨時打狗停車場」を設置した。

1908年に台湾縦貫鉄道が全通すると、一大ターミナルへと変貌し、「停車場」ではなく「駅」と呼ばれるようになる。1920年には本来の地名だった「打狗」駅から「高雄」駅に改称されたのだが、1941年には都市計画の進展に合わせ、現在の高雄駅のある場所に旅客駅を移設し、この地にあった「高雄」駅は「高雄港」駅に再び改称され、貨物輸送に専念することとなった。1945年の高雄大空襲では臨港三路に面していた木造駅舎が被害を受けたため、現存している駅舎は、本来の駅舎の南側に1947年になって再建されたものだ。

戦後の「十大建設」と呼ばれる大規模インフラ建設時期には、高雄市が重工業の拠点とされ、港町としての機能を十分に活かして発展し、高雄港駅も黄金期を迎えた。しかしながら、道路網の充実化とトラック輸送の発展により、鉄道貨物の輸送量は次第に減少。高雄港駅もそのあおりを受け、2008年に廃止となり、その長い歴史に幕を閉じた。

ただ、高雄港駅の跡地はその後も大きな手が加えられなかったのが功を奏し、台湾で最も保存状態がよい貨物ターミナルであることに着目した高雄市政府文化局は、2010年10月からこの地を「打狗鉄道故事館」とし、貨物輸送の最盛期とされた1960年代から70年代にかけての雰囲気をそのまま保存・展示することを決定。高雄MRT哈瑪星駅開業後の2017年10月1日には「旧打狗駅故事館」に改称している。

かつて高雄市を囲むように走っていた臨港線のうち、本館は駅舎、ホーム、信号所、線路などの施設跡がほぼ完全な状態で残り、館内では鉄道資料の検索や閲覧が可能だ。高雄港の最盛期の姿を現在に伝え、鉄道資料に触れながら、歴史散歩ができる場所である。